こんにちは。
アイエ一級建築士事務所の大塚彬子です。
今日は、キッチン選びのちょっとした盲点のお話です。
キッチンを選ぶとき、どこを見ますか?
・デザイン
・収納量
・ワークトップの素材
など、いろいろ気になるポイントがありますよね。
正直、設備はどのメーカーも一長一短。
デザインやコストなどの総合点と、お客様のニーズを整理して最終的決定をしていますが、
今回、
私自身も今まであまり意識していなかったポイント
がありました。
きっかけは、お客様からのこんなご質問です。
「TOTOのキッチンはシンク上から高圧洗浄できると聞いているけれど、
トクラスは引き出しを外さないとできないと聞いたのですが…」
正直なところ、
私もその時点ではメーカーごとの形状の違いを
そこまで意識していなかったので、
それなら他のメーカーはどうなんだろう?
と気になり、主要メーカーを比較してみることにしました。
調べてみると、普段は見えない部分ですが
メーカーごとの考え方や技術の違い
が見えてきて、とても面白い発見でした。
キッチンをご検討中の方はもちろん、
今お使いのキッチンの仕組みを知るのも面白いと思います。
ということは、皆さんにもあまり知られていないんじゃないかな?
というポイントがあるので、ご紹介したいと思います。
キッチン比較の盲点。
それは、排水トラップの位置です。
※排水トラップとは、
排水管の途中に水をためて、下水の臭いが室内に上がってこないようにする仕組みです。

普段は見えない部分ですが、
メンテナンスのしやすさに関わる大切なポイント。
このトラップに一番汚れが溜まりやすいのです。
マンションにお住まいの方は、
定期的に行われる排水管の高圧洗浄
で意識されることもあるかもしれません。
一戸建ての場合でも、
排水が詰まったときに
お掃除やメンテナンスがしやすい構造かどうか
は意外と重要!
このとき
「シンク下を片付けてください」
「キッチンの引き出しを外してください」
と言われて、面倒な思いをしている方もいらっしゃるのではないでしょうか、、、?
実はこれ、
キッチンの排水トラップの位置によって、高圧洗浄時の負担の大きさに違いが出てくるんです。

最近のキッチンでは
片付けなくても、引き出しを外さなくても
シンクの排水口から高圧洗浄できる構造
のものも増えてきています。
今回は主要キッチンメーカーの排水トラップを比較しながら、
配管のお手入れのしやすさ(メンテナンス性)
を考えてみたいと思います^^
メーカーによって排水トラップの構造は少しずつ違います。
例えば
LIXIL / TOTO / クリナップ
は、シンク上から高圧洗浄できる構造です。
汚れが溜まりやすい排水トラップが、
シンク排水口の直下にあります。
※シンクの形状やシリーズによって異なる場合もあるので、
採用の際は念の為メーカーに確認してみてください。

一方
Panasonic / タカラスタンダード / TOCLAS / GRAFTEKT
は、引き出しを外して
シンク下から洗浄する必要があります。

シンク排水口からトラップまで
高圧洗浄のホースが入って行きにくい「曲がり」があります。

高圧洗浄口を別に設けていますが、
引き出しを外さないと届かない位置にあるんですね。
ここで大事なポイントです
実は高圧洗浄は、
キッチン本体だけで決まるわけではありません。
排水トラップの先は、一般的に
・排水ホース
・VP管(塩ビ管・直管)
のどちらかで接続されています。
排水ホースは、ジャバラ状の柔らかいホースで接続する方法です。
施工がしやすく位置調整もしやすいのですが、
高圧洗浄ができないケースがほとんどです。
高圧洗浄を行うためには、
水圧に強いVP管(塩ビ管・直管)での接続が基本になります。
ただし、一戸建て住宅をメインに工事をしている会社さんの場合、
このあたりにまだ慣れていないこともあり、
慣れたジャバラの排水ホースをそのまま接続してしまう
ケースも見られるので、要注意です。
メーカーさんのカタログにも、よく注意書きがあります。

ところで、昔のキッチンは、ほとんどが開き戸収納でした。
シンク下は扉を開ければ配管がそのまま見えて、
高圧洗浄のときも配管に直接アクセスすることができました。
ところが2000年前後から、キッチン収納は
開き戸 → 引き出しへと大きく変わります。

引き出し収納は
・奥まで取り出しやすい
・収納量が多い
・整理しやすい
などのメリットがあり、
現在では、ほとんどのキッチンが引き出しタイプになっているのは皆さんご存知だと思います。
でもその一方で、
配管が引き出しの奥に隠れてしまう
という問題が生まれます。
この問題を解決するために、メーカー側では
排水トラップをできるだけシンク側に近づける形に変化させました。

シンクの排水口からそのまま高圧洗浄ホースを入れることができれば、
引き出しを外さなくても洗浄できますもんね。
LIXIL、TOTO、クリナップなどのメーカーは、
このあたりのメンテナンス性もしっかり考えて設計されています。
さすがです。

キッチン選びというと
・デザイン
・収納
・設備
に目が向きがちですが、
メンテナンス性も、意外と大切なポイントです。
シンク下がオープンなら気にしなくてもいい部分ですし、
1年に1回の片付けの機会と考えると、
強制的に物を出す必要があるのも悪いことではないかもしれません。
でも、特にご年配の方にとっては、
キッチンの引き出しを外す作業は、思った以上に一人では大変かもしれません。
(私もできる限り外したくない)
普段はあまり意識しない部分ですが、こうして見てみると
キッチンの内部にもメンテナンス性を考えた工夫
があることが分かり、
メーカーのスタンスや技術力も、
こうした見えない部分に表れているように感じます。
設備の仕組みや背景を少し知ると、
キッチン選びもまた違った視点で見えてきて、面白いですね。
ちなみに洗面台については、
まだこのあたりの開発が進んでおらず、
「引き出しを外さなくても高圧洗浄できます」
というメーカーは、現時点では見つけられませんでした。
そもそも洗面台はキッチンに比べて
・排水口が小さい
・排水管の径が細い
・トラップ部分もコンパクト
そのため、強い水圧をかけてしまうと
破損の恐れもあるそうです。
洗面台を高圧洗浄を行う場合はトラップ部分からではなく、
床の排水接続部から、その先の床下配管を洗浄する
という方法が取られるそうです。
排水管ひとつとっても、なかなか奥が深いですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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